Case Study in English

「導入事例」は
英語で何と言う?
case studyの使い方と
海外向け事例の作り方

「導入事例」を英語で言うなら、基本はcase studyです。ただしimplementation exampleは直訳寄りで説明的に響き、use caseは「活用シーン」を指すため、そのまま置き換えると意味がずれます。「導入実績」もtrack recordやclient listと、指すものによって訳し分けが必要です。このページでは、case studyを軸とした用語の使い分けから、そのまま使える英語の見出し・メール例文、海外向けに事例を英語化するときのローカライズ、事例一覧ページの英語表記まで、翻訳に入る前に押さえたい要点を順に整理します。

公開:2026年7月 株式会社アーキテクチャー 英語表現・海外向け事例の作り方
CHAPTER 01

「導入事例」は英語で何と言う? case study・implementation example・use case の使い分け

基本はcase study。似た言葉との差を先に押さえます。

「導入事例」の基本訳は case study(implementation example/use case とどう違うか)

「導入事例」にあたる英語として、B2Bの現場でもっとも広く使われるのがcase studyです。もともとは学術分野で「一つの事例を掘り下げて分析する」ことを指す言葉で、ビジネスでは導入前の課題から導入の経緯、導入後の成果までを追った詳しい記事を意味します。日本語の「導入事例」がカバーする範囲とほぼ重なるため、迷ったらcase studyを選んで問題ありません。

一方でimplementation exampleは「導入の一例」という直訳寄りの言い方で、意味は通じますが説明的に響き、ページ名や見出しとして使うと硬い印象になります。use caseは「活用事例・利用シーン」を指す別の言葉で、実在の顧客記録であるcase studyとは指すものが違います。まずは下の表で、事例まわりでよく使う言葉の性格を整理してください。

英語 日本語で近い言葉 長さ・性格 向いている場面
case study 導入事例 長め。課題・導入・成果を分析的に追う 検討者が判断材料として深く読むページ
implementation example 導入の一例(直訳寄り) 説明的。見出し名より文中での説明に向く 「導入の具体例」を文章で示したいとき
use case 活用事例・利用シーン 短〜中。使い方や想定シーンを示す 製品の使いどころを説明するとき(第4章)
customer success story お客様の成功事例 中〜長め。顧客視点の物語として語る 共感やブランドの世界観を伝えたいとき
testimonial お客様の声・推薦の言葉 短い。一文から数文の推薦コメント 数を並べて全体の評判を伝えたいとき
review レビュー・口コミ 短〜中。評価スコアを伴うことが多い 第三者評価を見せたいとき

※訳語は目安です。実際の呼び名は掲載媒体や業界の慣習に合わせて選びます

case study と testimonial・customer story の違い

case studyとcustomer story(customer success story)は重なる部分が大きく、同じ内容をどちらの名前で呼んでも通じます。分析的に見せたいならcase study、体験の物語として温度感を出したいならcustomer storyと、伝えたい印象で選べば十分です。これに対してtestimonialは一文から数文の短い推薦コメントで、日本語の「お客様の声」に近い言葉です。一社を掘り下げるcase studyに対し、testimonialは数を並べて評判を伝える役割で、両方をそろえると量と質の両面から検討者を後押しできます。

「導入事例」という言葉そのものの意味や役割は、導入事例とはのページでも整理しています。あわせて確認しておくと、英語表現を選ぶときの土台がはっきりします。

その他の「事例」表現

成功事例はsuccess story(success caseは直訳的で不自然)、施工事例・制作実績はproject exampleやour work、事例集・事例一覧はcase studiesやcustomer storiesが自然です。「〜を導入する」という動詞は、社内での採用を指すならadopt・implement・roll outが向いています。introduceも使えますが「新しく世に出す」語感が強いため、既存製品を社内に取り入れる文脈ではadoptやimplementのほうが誤解が少なくなります。

CHAPTER 02

そのまま使える英語表現・例文集(事例内の見出し語・問い合わせメール・辞書/公的資料の実例)

単語だけでなく、使う場面ごとの言い回しで押さえます。

個々の事例ページで使う見出し・ラベルの英語表現例

英語圏のcase studyは、課題・解決・成果という流れを見出しで示すのが定番です。日本語の事例でよく使う項目名を英語に置き換えると、次のようになります。

日本語の項目 英語の見出し例 使いどころ
要点サマリーAt a glance / Overview冒頭で成果や要点を先に示す欄
企業概要About the company取材先の紹介
課題Challenge導入前に抱えていた問題
解決策・対応Solution / Approach採用した製品や取り組み
成果・効果Results / Outcomes導入後に得られた変化
導入製品Products used使用した製品・サービスの明示
お客様のコメントIn their words取材先の発言を引用する欄

※見出しは一例です。媒体のトーンに合わせてOverviewをHighlights、SolutionをHow they did itなどに調整しても構いません

海外へ事例掲載を依頼・打診するビジネスメールの英文例

海外の顧客に「事例として登場してほしい」と打診するときは、目的・かかる時間・公開前に必ず確認してもらえることを短く伝えると、相手が判断しやすくなります。次はそのまま下敷きに使える一例です。角括弧の部分は自社の内容に置き換えてください。

Example Email
Subject: Request to feature [Company] in a customer case study Dear [Name], Thank you for choosing [Product] over the past year. We are putting together a set of customer case studies for our website, and we would love to include [Company]. The article would describe the challenge you were facing, how you rolled out [Product], and the results you have seen since. We would arrange a short interview of about 45 to 60 minutes at a time that works for you, and we would always send you the draft to review and approve before anything is published. Would you be open to taking part? If so, I would be happy to suggest a few dates. Best regards, [Your name]
日本語の趣旨:日ごろの利用への感謝、事例として取り上げたい旨、記事で扱う内容(課題・導入・成果)、45〜60分程度の取材、公開前に必ず原稿を確認・承認いただくこと、参加可否と候補日の相談。

辞書・公的資料に見る英訳例(introduction example/case study の使われ方)

英和・和英辞書では「導入」がintroduction・installation・implementationなどと並ぶため、機械翻訳では「導入事例」をintroduction exampleと直訳しがちです。意味は推測できますが、英語のビジネス文脈で定着している呼び名ではありません。企業や教育機関の英語サイトでも、事例を集めたコーナーはCase Studiesと表記されるのが一般的です。

use caseは、IT・ソフトウェア分野で「利用シーン」や「要件を記述したシナリオ」を指す専門的な言葉として辞書にも載っています。同じ「事例」でも、実在顧客の記録であるcase studyとは出自が異なる言葉だと理解しておくと、訳語を選ぶときに迷いません。

CHAPTER 03

「導入実績」を英語で伝えるには(track record・client list・results の使い分け)

「実績」は一語では訳せず、指すものごとに選びます。

「導入実績」の文脈別英訳(track record/client list/proven results)

「導入実績」は日本語では一語でも、英語では何を指すかで訳が変わります。これまでの積み重ねや信頼性を語るならtrack record、導入した企業の一覧を見せるならclient listやour customers、数値で示す成果ならproven resultsやresultsが自然です。導入事例(case study)と導入実績を同じ言葉で訳そうとすると混乱するため、まず「信頼の積み重ね」「企業の一覧」「数値の成果」のどれを伝えたいのかを決めてから語を選びます。

伝えたい内容 英語の例 使い分けのポイント
信頼・実績の積み重ね track record a proven track record of ... のように、長年の信頼を語るとき
導入企業の一覧 client list / our customers 企業名やロゴを並べて見せるとき。our clientsも可
数値で示す成果 proven results / results 定量的な効果を示すとき。introduction resultsとは言わない

※訳語は目安です。読み手の地域や業界に合わせて調整してください

「○社が導入」など数値実績の英語での見せ方

「○社が導入」といった数値の実績は、英語では次のような型で見せると自然に伝わります。数字の部分は自社の実数に置き換えて使います。

Patterns
Trusted by 500+ companies 多くの企業に使われていることを示す定番
Used by teams at [社名/ロゴ] 利用企業名を添えて信頼を示す
Join 1,000+ customers 行動を促すCTAと相性がよい
[N] deployments and counting 「増え続けている」ニュアンスを出す
「500」「1,000」「N」は表現の型で、必ず自社の正確な数字に置き換えます。「導入実績」をintroduction resultsと直訳せず、track recordか、具体的な数字とcompanies/customersで表すのが自然です。
CHAPTER 04

use case(活用事例)と case study(導入事例)を取り違えないために

どちらも「事例」ですが、指すものがまったく違います。

use case と case study が指すものの違い

use caseは、製品を「どう使うか」という想定シーンや利用場面を指します。まだ導入していない仮の設定でも成り立ち、ソフトウェア設計の分野では利用者の操作シナリオを表す専門語でもあります。これに対してcase studyは、実在する顧客が実際に導入し、課題から成果までをたどった記録です。use caseが「使い方の説明」、case studyが「実例の記録」と押さえると、両者を混同しにくくなります。

取り違えが起きやすい具体パターン

取り違えは、次のような場面で起こりがちです。いずれも読み手の期待とページの中身がずれる原因になります。

  • 想定利用シーン(use case)を集めたページを「Case Studies」と名付けて公開し、実在顧客の話を期待した読者の認識とずれてしまう
  • 逆に、実在顧客の詳しい事例を「Use Cases」とだけ表示し、事実に基づく記録であることが伝わりにくくなる
  • 製品ヘルプの「活用例」と営業資料の「導入事例」を、同じ英語ラベルでひとまとめにしてしまう

英語ページ公開前のチェックポイント

公開前に次の点を確認すると、取り違えによる誤解を防げます。

  • そのページが「実在顧客の記録」か「使い方の想定」かを区別し、Case Studies/Use Casesを正しく使い分けたか
  • 一覧のページ名と、個別記事の中身が食い違っていないか
  • 顧客名・数値の掲載可否が、英語版でも取れているか(第6章)
  • 英語を母語とする書き手に、用語の使い分けを確認してもらったか
一言で

use caseは「使い方の説明」、case studyは「実例の記録」。ページに載せる中身が仮のシーンか実在の顧客記録かで、名前を選び分けます。名前と中身をそろえるだけで、読者の期待とのずれはほとんど防げます。

CHAPTER 05

英語版の事例一覧ページで使う表記のルール(Case Studies/Our Customers など)

個別記事の言葉とは別に、一覧全体の名前を決めます。

「Case Studies」の単数・複数と表記ゆれ

記事1本を指すときはa case study(単数)、複数の事例をまとめた一覧やコーナー名はCase Studies(複数)と使い分けます。名詞としては2語で書き、ハイフンでつないだり1語にまとめたりはしません。ナビゲーションのラベルは、単語の頭を大文字にしたCase Studiesが読みやすく、サイト内で表記を統一しておくと迷いが減ります。

「Our Customers」「Trusted by」など一覧見出しの使い分け

一覧やロゴを見せる欄の見出しは、何を主役にするかで選びます。

  • 詳しい事例記事の一覧:Case StudiesCustomer StoriesSuccess Stories
  • 導入企業のロゴを並べる欄:Our CustomersTrusted byWho we work with
  • 制作物や成果を見せる欄:Our WorkResults

パンくず・ナビゲーションでの表記例

パンくずは「Home > Case Studies > [企業名]」のように、一覧の名前と個別記事をつなげます。グローバルナビでは、単独のCase Studiesとするか、Resourcesの下にCase Studiesを置く形が一般的です。導入企業を前面に出したいサイトでは、ナビ名をCustomersにする例もあります。ページ名・パンくず・ナビの三つで表記をそろえておくと、サイト全体で読み手が迷いません。日本語側での一覧ページの作り方は、導入事例集の作り方(事例一覧)で解説しています。

CHAPTER 06

海外向けに事例を英語化する流れとローカライズの勘所

訳す前に、読者を一つに決めて作り直すのが近道です。

日本語の事例をそのまま英語に置き換えても、海外の読者にうまく響かないことがよくあります。言葉を訳す「翻訳」と、読者の文化や商習慣に合わせて内容を組み直す「ローカライズ」は別の作業だからです。ここでは、作る側の手順として押さえておきたい勘所を順に整理します。

単位・日付・通貨・肩書き・固有名詞の置き換えと掲載許諾の再確認

日付は月日年(米国向け)か日月年(欧州向け)かで読み違いが起きます。通貨は現地通貨での併記や為替の目安を添え、面積や重さの単位も現地の基準に換算します。桁区切りや小数点の書式も地域で異なるため、読者の地域を決めてから表記をそろえます。肩書きは直訳せず、担当する職務が伝わる表現に置き換え、会社名の英語正式表記や人名のローマ字表記もあらかじめ統一します。あわせて、日本語で得た掲載許可が英訳版や海外公開にまで及ぶとは限らないため、実名・社名・ロゴ・数値の掲載可否を、英語版と公開範囲について改めて確認します。

取材→構成→英訳→ネイティブチェックの進め方

進め方は、まず日本語で課題から成果までが明確な事例を1本作り、それを土台にします。次に英語圏向けに構成を組み直し(結論先出し、Challenge・Solution・Resultsの型)、直訳ではなくローカライズとして英訳します。仕上げに英語を母語とする書き手が用語や語感を整え、最後に取材先へ英語ドラフトを確認してもらいます。記事化そのものの手順は導入事例の書き方にまとめており、英語版でも土台の作り方は共通です。

日本語版から英語版へ書き換えた構成例(Before / After)

日本語の事例をそのまま英訳した構成と、英語圏向けに組み直した構成を並べると、違いが分かりやすくなります。次は構成の型を示す図解例です。実在事例の数値ではなく、並び順の考え方を表したものです。なお、日本語版で使う構成の型と文例は導入事例のテンプレートにまとめています。

Before / 日本語をそのまま英訳
  1. 会社紹介・沿革
  2. 導入前の状況の背景説明
  3. 検討の経緯
  4. 導入の決定
  5. 導入後の変化
  6. 今後の展望
After / 英語圏向けに再構成
  1. At a glance(成果の要点を先頭に)
  2. Challenge(課題)
  3. Solution(採用した解決策)
  4. Results(定量・定性の成果)
  5. What’s next(今後)

※上記は並び順の考え方を示す構成テンプレートです。実在企業の事例や数値ではありません

英語化にかかる手間と費用の考え方(一般相場の詳細は費用の記事へ)

英語化のコストは、翻訳する分量、ネイティブチェックを入れるか、取材を英語で行うか通訳を挟むか、デザインをどこまで作り直すかで変わります。日本語版に加えてこうした工程が乗るため、日本語だけで完結する制作より手間がかかると考えておくのが安全です。制作費用の一般的な相場は導入事例の制作費用にまとめています。英語版はここに上記の追加工程が加わる前提で見積もると、実態に近くなります。具体的な金額は案件によって幅があるため、個別のお見積もりで確認するのが確実です。

順番のコツ

呼び名の翻訳より先に、読者の地域を1つに決めることが近道です。地域が決まれば、構成・単位・表記の判断がすべてそこに合わせられ、迷いが減ります。全地域に一度で対応しようとすると、どの読者にも中途半端な事例になりがちです。そして、その土台になるのは課題から成果まで明確な日本語の事例です。

CHAPTER 07

よくあるご質問

英語での言い方・使い分けについて、よくいただく質問をまとめました。

Q「導入事例」は英語でcase studyとcustomer storyのどちらを使えばよいですか?
どちらも使われますが、課題から成果までを詳しく分析して見せるならcase study、顧客の体験を物語として語るならcustomer story(customer success story)が自然です。B2Bのサイトでは、ページ名にCase StudiesとCustomer Storiesのどちらを採用しても問題ありません。読み手が判断材料として深く読む前提ならcase study、共感を重視するならcustomer storyと考えると選びやすくなります。
Qcase studyとtestimonialはどう違いますか?
case studyは課題・導入・成果の流れを追った長めの事例記事で、testimonialは一文から数文程度の短い推薦コメントです。日本語で言えばcase studyが「導入事例」、testimonialが「お客様の声」に近い関係です。testimonialは数を並べて全体の評判を伝え、case studyは一社を掘り下げて具体的な疑問に答えます。両方をそろえると、量と質の両面で信頼を伝えられます。
Q「導入実績」は英語で何と言いますか?
文脈によって訳語が変わります。これまでの実績や信頼性を指すならtrack record、導入した企業の一覧を指すならclient listやour customersが自然です。数値を伴う実績はresultsやproven resultsと表現できます。「成功事例」はsuccess caseと直訳せず、success storyとするほうがネイティブには自然に伝わります。
Q「活用事例」と「導入事例」は英語でどう違いますか?
「活用事例」は英語でuse case、「導入事例」はcase studyが基本です。use caseは製品の使い方や想定される利用シーンを示す言葉で、仮の設定でも使えます。一方でcase studyは、実在する顧客が実際に導入し、課題から成果までをたどった記録を指します。使い方の説明がuse case、実例の記録がcase studyと整理すると取り違えを防げます。活用シーンを集めたページをCase Studiesと名付けると、実在の事例を期待した読者の認識とずれるため注意します。
Q日本語の導入事例をそのまま英訳すれば海外でも使えますか?
直訳しただけでは伝わりにくいことが多く、ローカライズが必要です。英語圏では結論や成果を先に示す構成が好まれ、単位・日付・通貨の表記も地域に合わせる必要があります。役職名や商習慣に関する言葉は、直訳ではなく役割が伝わる表現に置き換えます。翻訳後はネイティブによる確認を入れ、掲載許可が英語版や海外公開まで及ぶかも確認しておくと安全です。
Q海外向けの事例で数値や日付はどう表記すればよいですか?
読者の地域の慣習に合わせます。日付はアメリカ向けなら月・日・年、ヨーロッパ向けなら日・月・年の順が一般的です。通貨は現地通貨での併記や、必要に応じて為替の目安を添えます。面積や重さなどの単位も現地で使われるものに換算し、桁区切りの記号も地域の書式に合わせると、読み手が数値を正しく受け取れます。
英語表現の前に

英語表現の選び方や単位の調整は、土台となる事例が強くて初めて活きます。呼び名という器を選ぶ前に、課題から成果までがはっきりした事例を用意することが先です。企画・取材・記事化は、導入事例制作サービスでご相談いただけます。

GLOBAL
Conclusion

海外に届く事例は、まず
日本語の強い一次情報から。

「導入事例=case study」を基本に、目的に応じてcustomer storyやtestimonialを選び分ける。海外向けなら、読者の地域を1つに決めて構成と表記を合わせる。そのすべての土台になるのが、課題から成果までが明確な日本語の事例です。企画・取材・記事化のご相談は、下記からお気軽にどうぞ。

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