全部を自社で抱えるか、まるごと外に出すか。この二択で考えると行き詰まります。7ステップのうち一部だけを外に出す、という中間の選び方が現実的です。まずは4つの軸で全体像を見てください。
| 評価軸 | 内製 | 外注 |
| コスト(1本あたり) | 人件費換算でおよそ7〜18万円相当(下の試算を参照) | 5万〜35万円(内容による) |
| スピード | 業務並行で遅くなりがち | 専業のため安定して早い |
| 品質 | 担当者スキルに依存 | 制作会社の品質基準に依存 |
| 継続性 | 担当者異動で止まるリスクあり | 担当変更の影響を受けにくい |
7ステップのうち、どこを外に出すと楽になるか
外注に向くのは「時間がかかる工程」と「経験の差が出る工程」です。逆に、社内の事情や取材先との関係が絡む工程は、自社で持ったほうが早く進みます。
| ステップ | 向いている担当 | 理由 |
| 1. 企画(誰に何を伝えるか) | 自社 | 営業戦略と直結するため、外部だけでは決められません |
| 2. 取材先の選定 | 自社 | 顧客との関係の温度は社内にしか分かりません |
| 3. 取材の依頼 | 自社 | 普段のやり取りがある担当営業から打診するのが最も通ります |
| 4. 取材 | 外注(同席は自社) | 聞き方の経験差が最も出ます。数字の深掘りは慣れが要ります |
| 5. 執筆 | 外注 | 1本8〜12時間かかり、通常業務と最もぶつかります |
| 6. 確認・公開 | 自社(どちらでも可) | 先方への催促の加減は、関係性を知っている側が握るのが安全です |
| 7. 公開後の活用 | 自社 | 営業の現場に置くところまでは社内の仕事です |
取材と執筆だけ外注し、社内確認と公開は自分で行う進め方
実際にご相談が多いのが、この形です。企画と取材先の選定、依頼までを自社で行い、取材当日と原稿を外部に任せ、取材先への確認と公開、公開後の活用を再び自社で持ちます。時間を最も食う執筆(1本8〜12時間)が外れるため、担当者1人でも月1本のペースを保ちやすくなります。
この形にする場合、外部に任せる範囲を最初にはっきりさせておくことが大切です。「文字起こしはどちらが行うか」「写真の手配は誰がするか」「修正は何回までか」を決めておかないと、境目の作業が宙に浮きます。
かかる時間を金額に換算して比べる
「自分で作った方が安い」と感じるかもしれませんが、社内で1本作ると、思っている以上に時間がかかります。1人の担当者が企画から公開まで通しで担った場合、たとえば次のくらいの工数がかかります(あくまで一般的な目安で、内容や慣れによって上下します)。
| 工程 | おもな作業 | 目安の時間 |
| 企画・設計 | 誰に何を伝えるか、構成を決める | 2〜4時間 |
| 取材先の調整 | 候補選び・打診・日程調整 | 3〜5時間 |
| 取材の準備 | 質問設計・事前の数字ヒアリング依頼 | 2〜3時間 |
| 取材当日 | インタビュー(60〜90分)+前後の移動・準備 | 2〜4時間 |
| 執筆 | 文字起こし・原稿作成・推敲 | 8〜12時間 |
| 確認対応 | 取材先への確認依頼・修正のやり取り | 3〜6時間 |
| 公開作業 | 入稿・画像・体裁の調整 | 2〜3時間 |
| 合計 | 1本あたり | おおよそ22〜37時間 |
この時間を人件費に置き換えて考えます。前提として、担当者の時給を(給与や諸経費を働く時間で割った目安として)3,000円と置くと、1本あたりの人件費はおよそ7万〜11万円相当になります。より専門性の高い担当者(時給4,000〜5,000円相当)なら、9万〜18万円相当まで上がります。
これを外注費と並べると、判断の目安が見えてきます。文章のみの外注なら5万〜15万円(本文の費用表を参照)ですので、社内で1本作る手間を人件費に直した金額と、外注費はおおむね同じ範囲に収まります。
判断の目安
- 数ヶ月に1本のペースなら、内製も選択肢です:たまにしか作らないなら、人件費と外注費は大きく変わりません。社内に情報が集まりやすい利点も活きます。
- 月1本以上、続けて作るなら外注が割安になりやすいです:担当者の時間が他の業務を圧迫し、人件費に「他の仕事が進まない分」も乗ってきます。品質のムラや、担当者が代わったときに止まるリスクも避けられます。
上の金額はすべて、前提を置いたうえでの一般的な目安です。自社の給与水準・作業の慣れ・外注先の料金によって変わりますので、ご自身の時給の目安に置き換えて試算してみてください。
内製と外注の詳しい比較は内製か代行か?徹底比較を、外注時の役割分担は制作代行・外注ガイドをご覧ください。
外注先に渡すとスムーズな情報
最初の打ち合わせで次の5点がそろっていると、やり取りの往復が減り、初稿の精度が上がります。
- この事例で伝えたいこと:どの強みを打ち出したいのかを1〜2行で
- 取材先の基本情報:事業内容、導入した製品・プラン、導入時期、担当部署
- すでに分かっている数字:削減できた時間、件数、金額の概算
- 出せない情報の範囲:社名、担当者名、顔写真、具体的な金額のうち、どこまで公開してよいか
- 参考にしたい事例:自社・他社を問わず「こういう雰囲気にしたい」と思う記事のURL
かけた費用が見合うかの、素朴な考え方
制作費が見合うかどうかは、難しい計算をしなくても、素朴に見積もれます。たとえば外注で1本15万円かかったとします。その事例を営業資料として商談に持参し、受注を1件でも後押しできれば、多くのBtoB商材では1件の受注から得られる粗利が、その費用を上回ります。さらに、公開した事例ページは検索から見込み客を継続的に呼び込む資産にもなります。
つまり、「1件の受注に貢献できれば元が取れる」という感覚で判断して差し支えありません。受注単価や粗利率は事業によって異なりますので、自社の1件あたりの粗利と制作費用を並べて考えてみてください。
制作会社選定の3つのチェックポイント
- B2B事例の制作実績があるか:B2CのWebメディアとB2B事例では必要なスキルが全く異なる
- ライターとカメラマンが連携しているか:取材と撮影を別々に発注するとコスト・手間が2倍になる。なお弊社では、取材にディレクターも同行します
- 確認フロー・著作権の取り決めが明確か:契約書で確認権・修正回数・著作権帰属を確認する
制作会社選びの詳しい視点は制作会社の選び方で、当社の制作実績や得意分野はコンテンツ制作の強みで紹介しています。