導入事例インタビューの
質問は12で十分

質問は「台本」ではなく「切り口」。取材は生もの。
切り口になる質問12と、深く聴くための準備の考え方を、制作現場の視点で解説します。

「導入事例の取材で何を聞けばいいかわからない」「質問を30問用意したのに、当日いい話が引き出せなかった」。導入事例のインタビューを担当する方から、よく聞く悩みです。

ネットで「導入事例 インタビュー 質問」と調べれば、質問例はいくらでも出てきます。でも、質問を増やすほど良い取材になるかというと、むしろ逆です。年間150件以上のB2Bコンテンツ制作で取材をしてきましたが、用意する質問はそれほど多くありません。質問は「全部聞くための台本」ではなく、「会話を始めるための切り口」だからです。

この記事では、その切り口になる12の質問と、それを生きた取材に変えるための準備の考え方をお伝えします。

この記事の要点

  • 質問案は「台本」ではなく「切り口」。取材は生もの
  • 切り口になる質問12(6観点)
  • 深く聴くための準備の考え方

まず「なぜ12で十分なのか」を押さえ、次に質問と準備を見てください。

取材は“生もの”。質問案は会話の“切り口”

最初にお伝えしたいのは、質問案で取材をガチガチに固めない、ということです。

もし用意した質問だけで事例に必要なことが全部そろうなら、それはもう取材ではなくアンケートです。質問用紙を送って書いてもらえば済みます。わざわざ時間をいただいて話を聞くのは、その場の答えから、さらに深く掘るためです。

質問を細かく決めすぎると、相手は「用意された答え」を読み上げるだけになり、生の言葉が出てきません。良い導入事例に必要なのは、整った建前ではなく、その人がその場で思い出して語る具体的なエピソードと数字です。

だから質問案は「切り口」と考えてください。一つ投げて、返ってきた答えのどこに引っかかりがあるかを聴き取り、「それはどういうことですか」「たとえばどれくらいですか」と掘っていく。この往復こそが取材の本体で、質問リストはそのきっかけにすぎません。

取材の切り口になる質問12【6観点】

以下は、実際の取材で起点にしている12の質問です。これは「順番に全部聞く台本」ではありません。相手の話の流れに合わせて取り出し、答えから深掘りするための入り口です。太字は特に数字を引き出す起点になる質問です。

観点① 会社・部署の輪郭

ねらい:読者が「自分と似た会社だ」と感じる前提を共有する。

  1. 御社の事業内容と、主なお客様の業界を教えてください。
  2. 今回ご参加いただいた部署の役割と、チームの規模感を教えてください。
  3. ご担当者さまご自身の業務と、今回の導入にどう関わっていたかを教えてください。

観点② 導入前の課題

ねらい:読者が「うちと同じだ」と思う瞬間をつくる。

  1. 導入を検討し始めたのはいつ頃で、きっかけは何でしたか?
  2. 導入前は、その業務を具体的にどうやっていましたか?
  3. その課題で、どんな問題が起きていましたか?(時間・件数・コスト・ミスの頻度など)

観点③ 検討・選定

ねらい:「なぜこのサービスに決めたか」を具体的に語ってもらう。

  1. 最初にどうやってサービスを探しましたか?(検索・紹介・展示会など)
  2. 比較で気になった点と、最後の決め手は何でしたか?

観点④ 導入プロセス

ねらい:これから導入する読者の不安を先回りして和らげる。

  1. 導入や運用を始めてみて、想定より大変だった点や、逆に「意外とスムーズだった」点はありましたか?うまくいかない場面でサポートに助けられたことがあれば、あわせて教えてください。

観点⑤ 導入効果

ねらい:事例の核心。感想ではなく数字を引き出す。

  1. 導入の前後で、定量的に変わったことを教えてください。(時間・件数・コスト・エラー率など、おおよそで結構です)

観点⑥ 今後・締め

ねらい:事例の締めくくり。読者へのメッセージを引き出す。

  1. 今後、このサービスをどう活用していきたいですか?
  2. 同じように悩んでいるご担当者へ、一言メッセージをいただけますか?

この12問を、そのまま使えるWordで無料ダウンロード

年間150件以上のB2Bコンテンツ制作の現場で実際に使っている資料です。事前送付用にそのままお使いいただけます。

インタビュー切り口の質問12

取材の起点になる質問12問を整理(Word形式)。先方への事前送付にもそのまま使えます。

フォーム記入してダウンロード

構成テンプレート(雛形)

構成6要素の文例つき完全雛形(Word形式)。埋めていくだけで導入事例の原稿が形になります。

ダウンロード

良い深掘りは“準備”で決まる

質問を増やさないぶん、準備が取材の質を決めます。ただしこの準備は「台本を作り込む」ことではなく、深く聴くための準備です。

質問案は遅くとも取材の1週間前に先方へ送ってください。できれば一度回答を返してもらい、目を通しておきます。とくに数字に関わる質問は、その場ではすぐ出てこないことが多いので、事前に伝えて準備してもらうほど精度が上がります。

そのうえで当日までにやるのは、相手の業界・サービス・公開情報の予習と、「この答えが返ってきたら、次はこう掘る」という想定です。台本を埋める準備ではなく、相手の言葉に乗って深掘りするための準備、と考えてください。

数字を引き出す小ワザ

  • 「かなり効率化しました」で止めず、「具体的に、月にどれくらいの差ですか?」と単位をつけて聞き直す
  • それでも出てこなければ「たとえば〜のようなことでしょうか」と助け船を出す
  • ビフォーの数字を先に固めてからアフターを聞くと、比較で思い出しやすくなる

深掘りは“人”に左右される。だから書き手の経験がものを言う

ここまでお読みいただくとお気づきかもしれませんが、「答えから深く掘る」「相手がどんな言葉を求めているかを察して次を聞く」という部分は、マニュアルで型にはめきれません。正直なところ、ここはかなり属人的です。書き手の経験が、そのまま事例の深さに出ます。

私たちのライターは、この深掘りを得意としています。元新聞記者、元IT雑誌のライター、技術書の執筆者など、取材と執筆を長く重ねてきた書き手がそろっているためです。読者がどんな答えを求めているかが分かっているからこそ、かゆいところに手が届く質問を、その場で対応できます。

さらに、取材の相手やテーマに合わせてどの書き手を立てるかを見極める、経験豊富なディレクターがいます。「誰に書かせ、どう深掘りさせるか」を取材ごとに使い分けられること。これが、私たちが導入事例制作で最も大切にしている強みです。

まとめ:良い取材は「切り口+深掘り」から生まれる

導入事例の良し悪しは、原稿を書く段階より前、取材の場でほぼ決まります。良い取材は質問を増やすことではなく、少ない切り口を入り口に、相手の言葉をその場で深く掘ることから生まれます。

  • 質問案は「台本」ではなく「切り口」。12で十分。
  • 取材は生もの。固めすぎず、答えから掘る。
  • 準備は台本作りではなく、深く聴くための準備(1週間前送付・回答確認・予習)。
  • 数字は単位をつけて聞き直し、出なければ助け船を。ビフォーを先に固める。

導入事例制作のご相談

だからこそ、取材の設計から原稿・公開まで一貫してお任せいただけます。「自社で取材する自信がない」「外注したいが品質が心配」という場合はご相談ください。インタビュー設計から取材・原稿・公開まで、取材にはディレクターとライターが同行する二重体制で臨みます。